論点整理を読み解く!③ 第四章「情報活用能力の抜本的向上と質の高い探究的な学びの実現」
今回は情報活用能力に関する第四章を読み解きます。
第四章 「情報活用能力の抜本的向上と質の高い探究的な学びの実現」
第四章のポイント整理
1. 背景
子どもたちが社会で生きていくためには、情報を扱う力(リテラシー)が不可欠ですが、これまでの学習指導要領では、情報教育が一部の教科に限定され、系統性も不十分でした。GIGAスクール構想で1人1台端末は整ったが、使いこなせる力の育成は道半ばといえます。また、小中学生がコンピュータやネットワークの仕組みを学べていないという課題も挙げられています。
2. 目指す方向
そこで、以下のような方針が立てられています。
(1) 情報活用能力の抜本的な強化
小学校:総合的な学習の時間に「情報の領域(仮称)」を追加する。つまりは、課題解決や探究活動と一体で情報活用を学ぶということです。また、情報技術の特性の理解やリスクについても留意することが触れられています。
この情報の領域で取り扱う学習活動例も示されています。
低学年では、写真、動画撮影やルールを守って使うこと、活用を通して体験的に特性を学ぶことが挙げられています。
中・高学年では、ネットで情報収集、表・グラフで整理分析、スライドでの表現などの活用を行うことが挙げられています。また、適切な取り扱いとして、メディアごとの情報や印象の違い、ネットの危険性やセキュリティの基本、長時間利用の影響を知ることが挙げられています。特性の理解としては、クラウド上での共同編集やプログラミング体験、生成AIの出力に触れることも挙げられています。
中学校:「技術・家庭科」から切り離し、「情報・技術科(仮称)」が新設されます。
→ コンピュータ・ネットワーク・データ活用をより体系的に学ぶ。
生成AIの基本的な仕組みを理解することも学習活動例として挙げられているため、中学校では活用が当たり前になっていくことが予想されます。
高校:小・中とつながる形で「情報科」をさらに充実する方向です。
また、文理を問わず生成AI時代に不可欠な基礎的な素養である「特性の理解」を身に付けられるよう検討を行うべきとされています。
(2) 質の高い探究的な学びの実現
背景
総合的な学習(小・中)や総合的な探究(高)は30年近く続いてきたが、「調べ学習で終わってしまう」「教師任せ、逆に子ども任せになりすぎる」など課題があります。その一方で、社会全体では探究的な力(課題設定・対話・表現)がますます必要になっています。
そこで、質の高い探究的な学びを実現するために、以下の方向性が提案されています。
情報活用能力を探究の基盤に
抜本的に強化される情報活用能力を、総合的な学習の時間だけでなく、各教科等における探究的な学びを支え、駆動させる基盤として明確に位置づけます 。
探究と情報の一体的な連携
特に小学校では、探究のプロセスと情報技術の活用を一体的に指導することで、効果的に双方の力を育むことを目指します 。中学校以上では、「情報・技術科」や「情報科」で専門的に学んだ知識やスキルを、総合的な探究の時間などで実践的に活用する流れを構築します 。
「学習の基盤となる資質・能力」の整理
これまで「言語能力」「情報活用能力」「問題発見・解決能力」の3つが挙げられていましたが、これを「言語能力」と「情報活用能力(情報技術の活用)」の2つに絞って整理することが提案されています 。これにより、学習の土台となる力をより明確にします。
所感
情報教育と探究学習を根本から強化し、両者を一体化させるということがこの第四章の要点に感じました。
今や子どもたちのスマホ普及率は増加傾向にあり、低年齢層にも広がっています。
情報技術について学習することは必須ですね。注意したいことは、便利さだけでなく危険性にも留意して指導していくことです。
便利さばかりに注目していてはいけませんね。
また、情報技術は日々進歩していくため、私たち自身も知識や技術をアップデートしていく必要があります。
私自身、生成AIについての授業について研究し、率先して行っていきたいと思います。
論点整理を読み解く!② 第二章および第三章
第二章 「質の高い、深い学びを実現し、分かりやすく使いやすい学習指導要領の在り方」
第二章では、質の高い深い学びを実現するため、学習指導要領を教師にとって分かりやすく、使いやすいものに刷新するための具体的な改善案が示されています。
そのための柱は、「構造化」「表形式化」「デジタル化」の一体的な推進と、重要な用語・概念の整理です。
(1) 中核的な概念等を活用した一層の構造化・表形式化・デジタル化
現在の学習指導要領は、個別の知識がどう繋がり、教科の主要な概念の深い理解にどう結びつくのか(タテの関係)、また「知識」と「思考力」がどう連携するのか(ヨコの関係)がイメージしにくいという課題がありました。
そこで、以下のような改善が提案されています。
改善の3つの柱は「構造化」「表形式化」「デジタル化」です。
構造化では、中核的な概念を軸に整理し、学年ごとの深まり(タテ)や力のつながり(ヨコ)を明確化し、必要に応じて内容も絞ります。
表形式化では、長文を表や箇条書きに変えて直感的に理解できるようになります。
デジタル化では、検索や教材リンク、AIによる授業支援ができる「デジタル学習指導要領」を整備し、先生の日常的なツールにしていきます。
(2) 「学びに向かう力、人間性等」の再整理
「学びに向かう力、人間性等」は非常に重要な資質・能力ですが、多岐にわたる要素が含まれており、全体像が分かりにくいという課題がありました。
そこで、この概念を維持しつつ、以下の4つの要素で構造的に整理し直す方向性が示されました。
-
初発の思考や行動を起こす力・好奇心:まずは考えてみよう、やってみようとする力
-
学びの主体的な調整:自分の学びを客観的に捉え、自己調整する力(メタ認知)
-
他者との対話や協働:他者との関わりを通じて学びを深める力
-
学びを方向付ける人間性:学びをより良い人生や社会に繋げようとする姿勢
これら4つの要素が相互に行き来する(往還する)ことで、「学びに向かう力、人間性等」が育まれるというイメージが提示されています。
(3) 「見方・考え方」の再整理
「見方・考え方」は、「学びの深まり」と「教科等を学ぶ本質的な意義」という2つの側面で説明されてきましたが、この二重性が分かりにくさの一因となっていました。
そこで、役割を以下のように整理することが提案されています。
「見方・考え方」の側面①「学びの深まり」は「中核的な概念等」による資質・能力の構造化によって一層具体的に示し、「見方・考え方」自体は、側面②「教科等を学ぶ本質的な意義」に焦点化してより端的に示していくこととする方向で検討すべきとされています。
(4) デジタル学習基盤を前提とした学びの在り方
GIGAスクール構想により1人1台端末が整備されましたが、学習指導要領の記述が現状に追いついていませんでした。そこで、次期学習指導要領ではデジタル学習基盤の活用を前提とし、その意義を総則に明記する方針です。
教師の指導用としてだけでなく、子どもが主体的に学習を調整するため、学習者の学習ツールとして使用することが求められます。
「個別最適な学びと協働的な学び」は、「個に応じた指導」を発展的に置き換える形で整理し、「主体的・対話的で深い学び」の実現手段として位置づけられます。
第三章 多様な子供たちを包摂する柔軟な教育課程
1. 背景
学校には、不登校の子、特別な才能を持つ子、日本語に不自由な子など、多様な子どもたちが在籍しています。しかし、現行の学習指導要領は標準時数や学年区分が硬直的で、一律的な教育課程では対応が難しいのです。そこで、「柔軟に授業を調整できる仕組み」が求められています。
2. 方向性のポイント
(1) 「調整授業時数制度」の創設
学校が一部の教科の授業時数を調整し、別の活動や時間に振り替えることを可能になります。学校判断で常に利用できるようになります。
• 例:算数を少し減らして → 「裁量的な時間」に充当する(基礎補習や探究活動など)。
(2) 裁量的な時間の活用
生まれた余裕を「裁量的な時間」として使えます。
活用例
◦ 学習に遅れがちな子への個別支援 ◦ 特別な才能を伸ばす活動
◦ 地域と連携した探究活動 ◦ 教員の研究や研修時間
(3) 学年区分・単位の柔軟化
学年に縛られず、子どもの習熟度に合わせた学びを実施していきます。
高校では、必履修や単位数をより柔軟に組み合わせられる仕組みを構築していきます。
(4) 個別の教育課程
不登校の児童生徒に対して、校内外の教育支援センターと連携し、実態に応じた課程を実施します。そして、特異な才能を持つ児童生徒に対して、高度な内容を大学や研究機関と連携して履修可能になります。また、日本語指導が必要な児童生徒に対して、母語を生かしつつ、日本語と教科の学びを統合します。
所感
大きな変更点は学習指導要領がデジタル化され、使いやすいものにアップデートされることです。現行の紙かPDFの状態だと気軽さがありませんが、デジタル化されることにより、指導要領に立ち返って考える場面が増えることが予想されます。
また、第三章で述べられている調整授業時数制度にも期待したいです。
これにより、探究の時間を作り出すことができ、より自由度の高い教育が可能となりますね。
日本の学校教育の良さはその統一感にあるとは思いますが、地域ごとに児童生徒や取り巻く環境の違いはあるため、一部自由度を持たせる取り組みは有効ではないかと考えます。
次回は第四章以降を見ていきたいと思います。
論点整理(素案)を読み解く! 第一章「次期学習指導要領に向けた基本的な考え方」
令和7年9月5日に教育課程部会の教育課程企画特別部会が開催されて、次期学習指導要領に向けた話し合いが行われました。その論点整理(素案)が開示されていますが、ページ数が多いため、少しずつ内容を紹介していきます。まずは第一章です。

第一章「次期学習指導要領に向けた基本的な考え方」
次期学習指導要領に向けた今後の検討の基盤となる基本的な考え方として提起された柱は3つあります。
- 主体的で対話的で深い学びの実装(Excellence)
- 多様性の包摂(Equity)
- 実現可能性(Feasibility)
変化の激しいこれからの社会で、子どもたち一人ひとりが主体的に学び続け、自らの人生を切り拓く力を育むことを目指すために、「多様な子供たちの『深い学び』を確かなものに」することが中心です。
1. 主体的で対話的で深い学びの実装 ― 知識を意味ある力に
「深い学び」とは、知識を丸暗記することではなく、概念を理解して活用できる力を育てることを指します。知識を点ではなくつながりで理解するというイメージです。
現行の学習指導要領でも重視されてきた「主体的・対話的で深い学び」を、さらに本格的に授業に実装していくことが第一の柱とされています。
単に知識を覚えるだけでなく、子どもたちが知識を相互に関連づけて深く理解し、他の場面でも活用できる「生きて働く確かな知識」を育むことが一層重視されます。
・授業では「なぜ?」「どうして?」を問いかけ、子どもが考え・表現しながら学ぶ流れを大切にする。
・学習指導要領の内容も、網羅より「構造化」「表形式化」「デジタル化」で整理される。
・ICTは「とりあえず使う」ではなく、深い学びを引き出す目的で活用する。
・小学校総合に「情報の領域(仮称)」を、中学校には「情報・技術科(仮称)」が新設。
例えば、社会科においては以下のような授業が想定されると考えます。
「ある歴史上の出来事について、もし自分が当時の〇〇だったらどう判断したかという問いを立て、グループで根拠を持って議論する。」
「資料を多角的に読み解き、現代社会とのつながりを考察するレポートを作成するなど、知識を活用して思考する。」
このように、より活用を意識した学習活動を充実させることが求められるでしょう。

2. 多様性の包摂 ― 子どもの“好き・得意”を伸ばす
今の学校現場には、不登校の子、特定分野に優れた子、多様な言語背景を持つ子など、様々な子どもがいます。
次期指導要領では、その多様性を前提に、一人ひとりの「好き」や「得意」を動機づけにして学び全体を広げることを重視します。
具体的には、
・「調整授業時数制度」や「裁量的な時間」で柔軟な時間配分を可能に
・学年区分や単位制度をもっと柔軟に
・不登校児童生徒や特定分野に優れた子に合わせた特別の教育課程を用意
また、子ども同士の対話や合意形成を通じて、安易な多数決ではなく納得解を探す経験を積ませることも強調されています。
例えば、以下のような授業編成が考えられます。
学校の判断で一部の教科の標準授業時数を減らし、週に2時間「裁量的な時間」を設ける。
その時間で、ある子は苦手な算数の基礎をじっくり復習し、別の子はプログラミングや地域の課題探究など、自分の興味関心を深める活動に取り組む。
このとき、教師がどう子どもたちをフォローしていくかは難しい課題となりそうです。
私、個人としては教師側の生成AIの活用が欠かせなくなるのではないかと考えています。

3. 実現可能性 ― 先生と子どもに「余白」を
こうした学びの実装は現場が疲弊していては持続できません。そこで第三の柱が「実現可能性」です。
・授業時数の適正化・平準化
・教科書の精選(分量の見直し)
・裁量的な時間の確保
こうした仕組みで先生と子どもに「余白」=ゆとりを生むことが目指されています。余白があるからこそ、探究や振り返りの学びが深まり、教材研究や授業改善に取り組めます。
自らの人生の舵取りする力と民主的な社会の創り手育成
今回の改訂の背景には、以下のような社会全体の構造変化があります。
・技術の発展: 生成AIの登場により、単に正解を知っていることよりも、独自の視点や発想を持つことの価値が高まっています 。
• 予測困難な未来:労働市場が流動化し、人生の在り方が多様化する中で、変化にしなやかに対応し「自らの人生を舵取りできる力」が不可欠になっています 。
• 社会の課題:人口の多様化やSNSなどの影響による社会分断のリスクに対応するため、主体的に社会に参加する「民主的な社会の創り手」の育成が急務となっています 。
• 学びの動機:少子化などで従来の入試などが動機付けとして機能しにくくなる中、子どもたちの学びへの動機付けをアップデートする必要もあります 。
これまで学校教育では、知識を正確に覚え、テストで「正解」を答える力も重視されてきました。
しかし、生成AIが登場したことで、その価値は大きく変わろうとしています。AIに聞けば、多くの「正解」は一瞬で手に入るからです。
そうなると、人間に求められるのは「正解を知っていること」だけでなく、「AIにはできない、独自の視点や発想を持つこと」も必要となります。
これからの社会では、こうした「人間ならではの力」がこれまで以上に価値を持つようになります。
AI時代の人間の役割については、一度以下のブログで考察しているので参考にしてください。
「正解主義」と「同調圧力」からの脱却
このような社会の変化に対し、現在の学校教育には2つの大きな課題があると指摘しています。
一つの「正解」を効率よく覚えることに偏りがちな教育では、子どもたちが自ら問いを立て、試行錯誤しながら自分なりの答えを見つける力が育ちにくいのが現状です。
また、「みんなと同じ」であることが重視され、周りと違う意見を言うことにためらいを感じる空気(同調圧力)も根強くあります。
これでは、AI時代に価値を持つ「独自の視点」が育ちにくくなります。
これらの課題を乗り越え、予測困難な時代をしなやかに生き抜くために、「自らの人生を舵取りできる力」を育てることが、今まさに求められているのです。
育むべき力:2つのアプローチ
では、「自らの人生を舵取りできる力」を育むために、具体的にどうすればよいのでしょうか。以下の2つの取り組みを両輪で進める必要があるとされています。
1. 一人ひとりの「好き」と「得意」を伸ばす
これは、「やらされ感」から「知りたい!」という内発的な動機付けに変えるアプローチです。
例えば、歴史が苦手だけれどゲームが大好きな子がいるとします。
その子の「好き」を起点に、「好きなゲームの時代背景を調べてみよう」「ゲームのキャラクターデザインの元になった文化を深掘りしよう」といった探究に繋げることで、学びは一気に「自分ごと」になります。
これは極端な例ですが、一つの「好き」や「得意」を深める経験は、自信に繋がり、他の教科への学習意欲をも引き出す可能性があります。
2. 当事者意識を持って対話し、合意形成を図る
これは、民主的な社会を創る担い手としての力を育むアプローチです。
自分の意見を持つことはもちろん重要ですが、それと同じくらい、自分とは異なる意見に耳を傾け、議論し、より良い答え(納得解)を粘り強く探るプロセスが大切とされています。
例えば、「学級ルールをどう変えるか」というテーマで話し合う特別活動が考えられます。
多数決で安易に決めるのではなく、「なぜ今のルールがあるのか?」「少数意見の背景にはどんな思いがあるのか?」を全員で考え、対話を通じてお互いが納得できる新しいルールを創り上げていく。
こうした経験は、多様な人々と共生していく上で不可欠な力を育みます。
これら2つの力は、「探究的な学び」や「情報活用能力の向上」そして「特別活動」といった具体的な教育活動の中で、関連付けながら育まれていくことが期待されています。

まとめ
次期学習指導要領の基本的な考え方は、「深い学び」「多様性」「余白」です。
現場にとっては、授業づくり・学年経営・校務のすべてに関わる大きな方向性になります。
今回の記事がみなさまの実践を振り返る機会になれば幸いです。
次期学習指導要領に向けた論点整理(素案)の簡単まとめ
次期学習指導要領に向けた論点整理(素案)を読む
学校現場に広がる「深い学び」と「余白」の可能性
2025年9月5日、中央教育審議会 教育課程企画特別部会から「次期学習指導要領に向けた論点整理(素案)」が示されました。
この素案は、改訂に向けた整理ではありますが、すでに学校現場に直結する重要な方向性がいくつも示されています。
今回はその中身を簡単に紹介します。
次期学習指導要領の3つの柱
次期学習指導要領の基本的な方向性として、次の三つが提示されました。
-
深い学び(Excellence)
主体的・対話的で深い学びを、より明確に授業に落とし込む。 -
多様性の包摂(Equity)
不登校や特異な才能を含め、一人ひとりの可能性を開花させる。 -
実現可能性(Feasibility)
教師の負担を増やさず、持続可能な教育課程を設計する。
この三本柱は、それぞれ独立しているのではなく、「多様な子供たちの深い学びを確かなものにする」という一つの目標に収束するものとされています。
教員に関わる4つの論点
1. 学習指導要領の「見える化」
-
目標・内容を「中核的な概念」で整理し、縦横のつながりを示す。
-
表形式やデジタル化で、教師が授業デザインを構想しやすくする。
-
将来的にはAIが指導案のたたき台を提示する仕組みも視野に。
学習指導要領が「読む資料」から「使うツール」へと変わる。
「わかりやすくて使いやすい」学習指導要領になるそうです。
これにより、授業準備のあり方そのものが変わる気がします。
2. 「調整授業時数制度」の創設
-
標準授業時数を柔軟に調整し、裁量的な時間を確保できる仕組み。
-
生まれた時間を、個別の学習支援や特別教育課程に充てられる。
時間割はこれまで以上に「学校の裁量」で動かせるようになる。カリキュラム・マネジメントが問われます。
個人的には探究の時間が取れるため、嬉しい改訂です。
3. 情報活用能力の抜本的強化
-
小学校:総合的な学習に「情報の領域(仮称)」を付加。
-
中学校:「情報・技術科(仮称)」を新設。
-
高校:「情報科」を拡充し、生成AIやデータ活用を明示的に扱う。
情報教育は「一部の専門領域」ではなく、すべての教員が関わるものとなります。
国語や社会、探究活動でも情報リテラシーが前提となります。
4. 学習評価の刷新
-
評価は「個人内評価」を基本とし、子供の成長を肯定的に見取る方向へ。
-
記録に残す評価は頻度を減らし、学習改善に活かす評価を重視。
観点別評価や通知表が変わります。
教師に求められるのは「数値化」ではなく「成長をどう見取り支えるか」という姿勢です。
「余白」をキーワードに
論点整理の随所に登場するのが「余白」という言葉です。
教師にとって:過度な業務負担を軽減し、授業改善や研修に向けられる時間をつくる。
子どもにとって:一斉授業だけでなく、個別探究や協働学習に取り組む時間を確保する。
余白をどう活かすかは、学校ごとに異なる実践を生むでしょう。
使い方は現場に委ねられます。
個人的には、余白があることにより個を伸ばしていくことに繋がると考えています。
教師としても、授業時数で縛られているよりも自由度が増すことにより、実践の幅が広がります。
今回は概観を示しただけなので、また詳しく読みこみ紹介していきたいと思います。
GPT-5登場で再考する「AI時代の人間の役割とは?」−求められる5つの力−
GPT-5は、ついに「人間を超える性能」「博士号レベル」と評されるまでに進化しました。思えば、GPT-4の公開からまだわずか2年ほど。進歩のスピードは想像以上です。
AIの進展を追っていると、時に無力感を覚えます。
今もハルシネーションは起こるものの、それらも遠からず克服され、プロンプトの意図を完全に理解したような回答が当たり前になるでしょう。
もしかすると、その未来はもうすぐそこに来ているのかもしれません。
やがて、AIはあらゆる場面で頼られる存在となり、「では、人間は何をするのか?」という問いが迫ってきます。
これは単なる哲学ではなく、これからの生き方や教育に直結する問題です。
そこで今回、AI時代における人間の役割を5つに整理し、その役割を果たすために必要な力を養う教育のあり方について考察しました。
AI時代における人間の5つの役割
問いを立てる
AIを何のために使うか、何を質問するか、何を課題だと考えてAIを使うかによって得られるものが大きく変わります。
生成AIの出力の質はプロンプト次第な所があるため、「問いを立てる」ことがAIとの共存には重要となってきます。
この問い立て自体をAIが行う時代もおそらく到来すると思いますが、それまではこの問い立ての力によって生成物の差がはっきりと出ます。
価値判断をする
例えば「利益を最大化」することが正しいのか、「便利さ」と「人間らしさ」をどちらに寄せるか、生成物の良し悪しを判断するなど、こうした価値判断は人間の役割といえます。
その価値判断を下すためには倫理観を備えておく必要もあります。
創造する
ここでの創造は一種の型破りな創造です。
AIは過去のパターンを学習しているため、規則的な組み合わせなどは得意です。
しかし、これまでのパターンとは異なる人間の感性による創造物を作り出すことは難しいのです。
これは私の主観的な想像ですが、今後はAIの生成物が世に溢れかえるはずです。人々はAIの作り出す無駄なく美しい作品に酔いしれる一方で、人間らしさを求める層が一定数現れるはずです。常識では考えられないような創造性はより高く評価されるのではないかと思います。
共感し、情緒的なサポートをする
今、物心がついて生命活動を行っている世代は「AI=心がない」ことを理解しています。
そのため、AIの共感よりも人に共感してもらう方がおそらく心が動くはずです。
(このあたりは、Xの「Keep4o」運動でやや自信がなくなりましたが…)
人を動かしたり、支えたりとサポートする役割として、人間として大きな役割があるのではないでしょうか。
批判する
これは批判的思考に関わることです。AIが普及していくことにより、情報の真偽を見抜くことがより難しくなっていきます。使用するAIによって回答も当然変わります。
例えば、そのAIのスポンサー企業の商品ばかり勧めてくるなど新たな広告ビジネスも考えられますよね。
どうしてもAIは開発者の意図が入ります。もしくは開発者が意図しない所で誤った回答や導き方をするかもしれません。
このとき、根拠や理由を確かめながら客観視して判断を下す必要があります。
代表的だと感じた5つを挙げました。
しかし、これもAIのモデルチェンジによって変化していきます。これまではファクトチェックが必要だと強く思っていたのですが、今回のGPT-5はハルシネーションが抑えられています。
これから登場するモデルによって人間の役割も変化していく可能性があります。

今の学校教育でできることとは?
問いを立てる力をつけるには?
例えば、理科では生活体験や観察から問いを見つけていきます。社会では資料から問いをつかんでいきます。こうした問いをつかむ活動を重視し、問いを共有することで言語化し、複数の視点を得ることで、多角的に考える力を養います。
また、探究学習や総合的な学習の時間において、自分の関心のあるテーマについて問いを何度も設定しながら探究していくことが必要でしょう。
しかし、子どもたちがこのように問いを立てるためには、理科であれば体験活動を充実させる必要があり、社会であれば問いを引き出す資料選定が欠かせません。知識や経験を広げることを意識する必要があるでしょう。
価値判断をする力をつけるには?
各教科の授業で子どもたちはあらゆる選択すると思いますが、その際には理由や根拠を明確にして判断することを求めていきます。
立場を変えてディベートに取り組むこともいいでしょう。
実際のデータや事例を使うことで感情だけでなく根拠を持った判断力を養うことを狙います。
創造性を高めるには?
創造性を高めるために、子どもたちの発想を否定せずに受け入れることで自由な発想を引き出しやすい環境を作ります。
私もそうですが、つい型にはめてしまいがちなので、気をつけたいところです。
ただし、自由に考えさせると困ってしまうため、いくつかの条件を提示することがポイントです。
また、教科横断的な学びを意識することも大事です。
異なる分野の知識を関連づけて新しい気づきを得る体験をすることで発想の幅が広がり、複合的に考える力がつきます。
カリキュラムマネジメントは皆さんも意識されていると思いますが、学習事項を教科間で繋げていくことをより重視したいですね。
共感力を高めるには?
協働的な学習を取り入れることです。
近年は1人1台端末により1人で学ぶことが増えていますが、1人学びと2人学びを組みわせるなど、集団学習の良さは活かしていく方がいいでしょう。協力せざるを得ない、やや難易度の高い課題を提示するなど交流が生まれる仕掛けることも1つです。
今はゲームやSNSの普及により、学校外において友だちと直接対面して関わることが減っているため、学校での交流を大切にしたいですね。
また、人の気持ちを考える機会として道徳や特別活動も関わってきます。
批判的思考を養うには?
国語において、2つの文章を読み比べて立場や表現の違いに気づかせることや社会で複数の資料を比較して整理していくことで情報を読み取る力や多角的な視点を養います。
また、算数ではデータやグラフの解釈の違いを見つけることや、理科では実験、観察結果に基づいて考察することを通して、根拠をもとにして考えることや判断する経験を積みます。
さらに、情報活用能力に関わる授業で誤情報を見抜く練習も有効でしょう。
子どもたちが頻繁に使う動画配信サービスやSNSにも誤情報は流れているため、現実感の伴った学習となります。

これからは教育も急速に変化していく?
学習指導要領は10年に一度改訂されています。
しかし、今のAI技術の進歩の速さを見ていると10年経つと社会が今まで以上に様変わりしていると思います。教育は1年で結果が出るようなものではありません。長いスパンで見なくてはなりません。そのため、10年後もおそらく必要であろう力を見定めて教育を行っていく必要があります。ただ、この前提はAIの進歩によって崩れたり、変化したりします。
私たちはドシっと構えて教育するというよりは、柔軟に対応していくことが求められるような気がしています。私自身、頑固なところがあるので気をつけたいと思います。
いかがでしょうか。皆さんのお考えも是非お聞きしたいと思います。
まずは業務効率化のために生成AIを使ってみませんか?
「準備に時間がかかる」「文面づくりが負担」
そんな業務のいわゆる作業部分は、生成AIにうまく任せるとグッと楽になります。
ポイントは、リスクの低い領域から少しずつ始めて、使用場面を広げていくこと。ここでは、すぐ試せる使い方、プロンプト(指示文)テンプレート、セキュリティの基本までをご紹介します。
まずはここから:低リスクで即効性のある使い方5選
1.授業展開、学習活動を検討
まずは授業の一部分から、盛り上がる導入を複数提示させてみましょう。慣れたら、授業の流れや単元計画を作成してみましょう。
2.授業の想定をする
つまずきやすいポイント、発問に対する回答、困りそうなことや対処法などを生成させることができます。特に初めて取り組む単元では使いやすい方法です。
3.授業で提示する例を作成する
国語の書く活動、算数の誤答例、社会の新聞づくり、調べ学習や探究テーマなど見本として作成していた例を生成することができます。
4.学級通信の構成づくり
構成(見出し・小見出し・本文の流れ)のたたき台をまず生成。
個人情報を抜いた上で自分の学級通信を生成AIに読み込ませるとより精度の高いものが生成されます。
5.メール・お手紙の文面下書き
説明・依頼・お礼など、言い回しを素早く整える。自分で一から書くと時間が掛かるため、サッと下書きを作成しましょう。
※いずれも最終チェックは人間。AIは初稿と修正の担当、と考えるのがコツです。
プロンプトの型
プロンプトとは生成AIへの指示文のことです。
昔のモデルでは、このプロンプトを工夫することで回答の質が上がりましたが、現在のモデルは性能も上がっているため、ある程度崩れていても理解することができます。
ただし、長文すぎると要素が抜け落ちることがあるため、以下のように工夫するといいです。
背景 → 指示 → 条件 → 出力形式
例
#背景
-小学校5年生で算数の割合の授業をする
#指示
-子どもたちの関心が高まる単元の導入を考えて
#条件
-Web上の情報を参考にして
#出力形式
-指導案の形式で出力する
それでは実際に入力して回答を求めてみましょう(GPT-5使用)。


このように指導案風の形式で割合の導入例が提示されました。
条件や出力形式を指定することで自分の望む形の回答を生成させることができます。
実際使うときは?
大枠を聞いて→深掘りしていく
先ほどのように導入を考えさせると1つしか提示されません。
そこで、まずは「10個生成して」「50個生成して」など複数案を提示させます。
そして、気に入ったものがあれば「◯◯について詳しく教えて」と追加で入力したり、先ほどのようにプロンプトの形を整えて生成させたりします。
また、「あなたはプロの教師です」というように役割を与えると回答の精度が高くなります。
是非、試してみてください。
コピペ可:業務効率化プロンプト集
1.メール、お手紙作成
あなたは文章校正のプロです。
#指示
-下書きを丁寧な敬体に整え、抜けている情報を追加する
#下書き
-(ここに下書きをコピペ)
#条件
-◯字以内
-読み手は◯◯
2.学級通信の構成を考える
#指示
-学級通信の構成案を作成
#対象
-◯年生の保護者
#内容
-(ここに主となる話題を入れる)
#条件
-◯字以内
-明るい文体
-◯月
3.学習活動を考える
#背景
-小学5年生の体育「ハードル走」の授業をする
#指示
-リズムよくハードルを飛ぶための練習方法を考える
#条件
-用具をあまり使わないものにする
-10個生成する
4.例を作成する
#背景
-小学3年生で国語の「モチモチの木」の授業をしている
#指示
-モチモチの木を読んで学んだことを書いた新聞の例を作成する
#条件
-◯字以内
その他の活用場面例
・年間指導計画のたたき台作成
・単元計画の生成
・導入用アイスブレイクの生成
・小テストの作成
・パフォーマンス課題アイデア出し
・問題の解説文下書き
・レベル別課題の生成
・難しい説明を簡単にする など
一度試してみてください。
安全・コンプライアンスの基本
・原則1:個人情報は入力しない。
児童生徒名・顔写真・成績・健康情報・家庭状況などは入力厳禁。
・原則2:著作権に気をつける
授業目的だと例外は適用されるが、授業外は違う。
特定の作品を模すような悪意のある生成をしない。
著作権に配慮が必要な教材の丸ごと貼り付けもダメです。
・原則3:最終的な判断は人間
必ず教員が確認。そのまま使用することはしない。
誤情報(ハルシネーション)がないか確認する → 出典提示や事実確認をする
うまくいかない時のチェックリスト
・プロンプトの意図が伝わらない
→少しずつ読み込ませて対話を続けると伝わりやすくなる。
・トーンが合わない
→「硬さ:やや柔らかめ/公文書より」など指示
・回答の精度が低い
→ 参考資料(例えば学習指導要領)を読み込ませると精度が高まる。
まとめ
・生成AIはたたき台づくりと修正の時短ツールとして使うのが安全で効果的。
・授業準備は特に個人情報を入れる必要もなく、活用しやすい。
・セキュリティ遵守と最終チェックは責任を持って行う。
冷静に考えると生成AIに頼る方が早く済む業務は多いです。
この記事にあるプロンプトをコピペするだけでもいいので、一度試してみてください。
博士号レベルの相棒!GPT-5・Thinkingモード・Proモードを比べてみた
2025年8月7日、OpenAIがついに公開したGPT‑5。
今回の記事では早速レビューをしたいと思います。
GPT-5とは?
GPT‑5は、PhDレベルの専門家を目指して作られた、OpenAIの新モデルとされています。コーディング、数学、創造的な文章、ヘルスケア、視覚認識など、多方面にわたる能力が大幅に向上しています。
特徴
自動でモデルが切り替わる
複数の内部モデルがあり、会話の複雑さに応じて自動で切り替わる仕組み
精度と信頼性の強化
GPT‑4oと比べて、ハルシネーションが約45%減り、思考モードでは約80%減少するなど、その正確さが特徴的です。
忖度が減る
4oは不必要なヨイショがあり、自分の意見について客観視しにくい部分がありました。しかし、そうした忖度も減り(14.5% → 6%未満)、より自然で控えめな表現になっています。
ロングコンテキスト対応
最大40万トークンまで対応可能となっています。
まだまだGeminiには及びませんが...
GPT‑5 Thinking
同じ基本モデルを使いつつ、より多くの「考える時間」(推論)を与えたモードです。
複雑な問題にも丁寧に対応します。
GPT‑5 Pro
Thinking モードに加えて、より広いツール利用(ウェブ検索・コード実行・画像処理など)や 高度な推論が使えるモデルです。専門的な場面での活用が期待されます。
それでは、実際に使用感をレビューしていきたいと思います。
自分の得意分野の質問(日本の学校保健教育の課題)をそれぞれのモデルに投げかけてみました。
GPT-5


回答の質が高いと感じます。これが推論もなしに一瞬で生成されたことに驚愕しました。
4oやGPT-4.5も素晴らしかったですが、回答内容が甘いと感じることが多々ありましたが、GPT-5はさすが博士号レベルというだけあって、内容も適切です。
無駄な装飾がなくて、見やすい点も個人的にはプラスです。
無料ユーザーでもこれが標準装備というのが恐ろしいですよね。
GPT-5 Thinking
Thinkingモードは短い推論をして回答します。
先ほど、同様に日本の学校保健教育の課題を考察させています。


一見、見にくいと感じるかもしれませんが、よくよく読むとベーシックよりも課題について深掘りすることができています。
構造的要因(クレームなどの面倒事を恐れてセンシティブな領域は後回しになる)などは現場で働いていなければわかりにくいことまで立ち入っている点も素晴らしいですね。
改善策もより具体的にかつ実現可能であろう形で示されています。
24秒の推論でこのレベルまでの回答が得られるならば業務で大いに活躍してくれると感じました。
GPT-5 pro
続いてはproモードです。
熟考をするため、かなり時間は要します。
同様の質問を投げてみました。




11分もの熟考で長かったですが、詳細なレポートが仕上がりました。
DeepResearch顔負けの調査レベルです。
2025年の新しい情報を収集できており、o3 proよりも調査力が上がっていると感じます。
無駄な表なども減っているため、読みやすくなっています。
また、他のモデルとは違い、数値が多く示されているのも素晴らしいですね。
未知のことについて調べる際には、10分程度でこのレポートを作成することができるため、かなり重宝するのではないでしょうか。
総括
普段使いであればGPT-5で十分で、業務ではThinkingモードを使用する場面がでてきそうです。論文レビューや長文の資料を分析する、簡単なレポートを作成したい場合はproモードが活躍します。
教員の方は基本、Thinkingまでで十分ですね。研究をしていきたい場合はproが欲しいところです。
今後も使っていくなかでいい活用が見つかれば報告したいと思います。

(GPT-5で作成)